中国発の最新AIモデル「Qwen3.5」とは?GPT-5.2に匹敵する性能をやさしく解説

この記事のポイント

  • Qwen3.5はAlibaba Cloudが発表した次世代マルチモーダルAIモデル
  • 総パラメータ3970億だが、推論時は170億に抑える効率的な設計
  • GPT-5.2やGemini 3 Proに匹敵する性能を持ち、無料で試すこともできる

はじめに

「AIモデルの開発競争は、もはやアメリカだけのものではない」

2026年2月、中国のAlibaba Cloud(アリババクラウド)が次世代の大規模AIモデル「Qwen3.5」を発表しました。OpenAIのGPT-5.2やGoogleのGemini 3 Proに匹敵、あるいはそれ以上の性能を持つとされ、AI業界で大きな注目を集めています。

この記事では、Qwen3.5がどんなモデルなのか、なぜ注目されているのかを、技術に詳しくない方にもわかりやすく解説します。

Qwen3.5とは?

Alibaba Cloudが開発した次世代AIモデル

Qwen3.5は、中国の大手IT企業Alibaba(アリババ)グループのクラウド部門が開発したマルチモーダルモデルAIです。代表モデルは「Qwen3.5-397B-A17B」として発表されました。

マルチモーダルとは?

「マルチモーダル」とは、テキストだけでなく画像・動画など複数の種類のデータを扱えることを意味します。Qwen3.5はこれらをネイティブに(最初から統合的に)処理できる設計になっています。

対応データできること
テキスト文章作成、質問応答、翻訳
画像画像の説明、OCR(文字認識)
動画動画の内容理解・要約

3970億パラメータなのに軽い?MoEの仕組み

Qwen3.5最大の特徴:MoE(Mixture of Experts)

Qwen3.5の最も注目すべき特徴は、そのアーキテクチャにあります。

  • 総パラメータ数:約3,970億(397B)
  • 推論時の有効パラメータ数:約170億(17B)

つまり、学習時には3970億の知識を持ちながら、実際に使うときには170億パラメータ分の計算量で済むのです。

「専門家チーム」のたとえ

この仕組みを会社に例えると、わかりやすくなります。

【従来のAIモデル】
→ 1人の「なんでも屋」が全部の仕事をする
→ 能力を上げるには、その1人をひたすら鍛えるしかない(コスト大)

【Qwen3.5のMoE方式】
→ 512人の「専門家チーム」を用意しておく
→ 質問ごとに、内容に合った専門家10人+共通1人だけが仕事をする
→ 残りの人はその仕事では待機するので、計算コストを節約できる
→ とはいえ、チーム全体では多様な専門分野をカバーできる

この設計により、同じ17Bクラスの通常モデルと近い計算コストでありながら、3970億パラメータ分の多様な知識とスキルを活かせるのが大きな強みです。

GPT-5.2やGemini 3 Proに匹敵する性能

ベンチマーク結果

各種ベンチマークテストにおいて、Qwen3.5は以下のような最新モデルと同等以上の成績を示したとされています。

比較項目Qwen3.5GPT-5.2Gemini 3 Pro
言語理解
コード生成
推論能力
画像理解
エージェント

「思考モード」でさらに高性能に

Qwen3.5には「思考モード(Thinking)」が搭載されており、これを有効にするとさらに精度が向上します。思考モードでは、回答前にモデルが内部で段階的に推論を行い、より正確な回答を導き出します。

この機能により、DeepSeek-V3.2-Thinkingを超え、GPT-5.2 HighやClaude Opus 4.5を上回るとする報告もあります。

生成速度も大幅向上

従来モデル(Qwen3-235B-A22B)と比較して、生成速度が3.5〜7.2倍に向上。大規模モデルでありながら、実際の業務で使えるスピードを実現しています。

OCR・画像認識への期待

Qwen3.5はネイティブVision-Languageモデル

Qwen3系には「Qwen3-VL」というVLM(Vision-Language Model)系列が別ラインとして存在していました。しかしQwen3.5では、テキスト・画像・動画をネイティブ統合したVision-Languageモデルとして設計されています。

つまり「Qwen3.5-VL」という別モデルがあるわけではなく、Qwen3.5-397B-A17B自体が視覚エンコーダを内蔵したマルチモーダル基盤モデルであり、従来のQwen3-VLを上回るVision-Language性能を達成したとされています。

OCR機能の充実

Qwen3.5はVision-Language性能が高いため、OCR(光学文字認識)に関連する機能も充実しています。

Qwen3-VLから継承・強化されたOCR機能:

  • 32言語対応の拡張OCR(従来の10言語から大幅拡大)
  • 低照度・ブレ・傾き・レア文字・専門用語にも頑健
  • 長文ドキュメントの構造解析が改善

今後のOCRシステムへの期待

これらの技術がQwen3.5にネイティブ統合されたことで、高精度OCRや文書理解システムの基盤としてより活用しやすくなっています。例えば、名刺のスキャンや請求書の自動読み取りなど、日常業務でのAI活用がさらに進むことが期待されます。

エージェント機能と実運用

「ビジュアル・エージェント」とは

Qwen3.5は「エージェント型AI時代への対応」を掲げ、デスクトップやモバイル上で自律的に操作を行うビジュアル・エージェント機能を備えています。例えば、画面を見ながらボタンをクリックしたり、フォームに入力したりといった操作をAIが代行できるようになります。

コスト削減と処理能力の向上

Alibabaは前世代と比較して以下の改善を発表しています。

改善項目内容
利用コスト60%削減
処理能力8倍に向上

「高性能だが重すぎるモデル」から「実際の業務で回せるモデル」への転換が進んでいます。

Qwen3.5を試してみるには?

無料で使える方法

Qwen3.5は、無料アカウントでも以下のサイトから試すことができます。

公式チャット: https://chat.qwen.ai/

アカウントを作成するだけで、Qwen3.5の性能を体験できます。

ローカル運用は難しい

一方で、3970億パラメータのモデルを手元のPCで動かすのは現実的ではありません。

ローカル運用が難しい理由:

  • モデルファイルのサイズが非常に大きい
  • 大量のGPUメモリが必要
  • 一般的なPC(GPU 1〜2枚)では処理しきれない

現実的な使い方

用途おすすめの方法
Qwen3.5を試すクラウドAPI経由(chat.qwen.ai など)
ローカルで動かしたいQwen3系の軽量版(8B/14Bクラス)を使用
本格運用クラウドAPI+ローカル軽量版のハイブリッド構成

まとめ

ポイント内容
モデル名Qwen3.5-397B-A17B
開発元Alibaba Cloud(中国)
特徴MoE方式で効率的な推論を実現
性能GPT-5.2、Gemini 3 Proに匹敵
マルチモーダルテキスト・画像・動画に対応
試し方chat.qwen.ai で無料体験可能

Qwen3.5は、中国発のAIモデルとして非常に高い性能を示しており、今後のAI業界の競争をさらに加速させる存在です。特にMoE方式による効率的な設計や、マルチモーダル対応の充実は、企業のAI活用を考える上でも注目に値します。

まずはchat.qwen.aiで気軽に試してみて、その実力を体感してみてはいかがでしょうか。

関連記事

参考記事


AI導入でお困りですか?

「最新のAIモデルを業務に活用したい」「自社に合ったAIツールを選びたい」

そんなご要望がありましたら、AI DARUMAにご相談ください。せとうち地域の企業様に最適なAIツールの選定・導入をサポートいたします。

〒723-0062 広島県三原市本町 1丁目7-29 2階 コワーキングスペースarica内