社内の「なんとなく不便」を洗い出してAIで解決するフレームワーク

この記事のポイント

  • 「なんとなく不便」を言語化する方法を紹介
  • AIで解決できる課題かどうかを判断する基準がわかる
  • すぐに使えるテンプレート付き

はじめに

「AIを導入したいけど、何に使えばいいかわからない」

「うちの会社にはAIは関係なさそう」

そう思っていませんか?

実は、どの会社にも「なんとなく不便」「なんとなく面倒」な業務があります。その中には、AIで解決できるものも少なくありません。

この記事では、社内の課題を洗い出し、AIで解決できるかを判断するためのフレームワークを紹介します。

ステップ1:「不便」を洗い出す

不便を見つける4つの質問

日々の業務を振り返り、以下の質問に答えてみてください。

質問見つかる不便の例
① 時間がかかりすぎる作業は?報告書作成、データ入力、リサーチ
② 何度も同じことを聞かれる内容は?社内規程、申請方法、手順の確認
③ 「面倒だな」と感じる作業は?メール文面作成、議事録整理、翻訳
④ 人によって品質がバラつく作業は?顧客対応、提案書作成、チェック作業

洗い出しテンプレート

以下のテンプレートを使って、チームで不便を洗い出してみましょう。

【不便の洗い出しシート】

部署名:
記入者:
記入日:

■ 時間がかかりすぎる作業
1.
2.
3.

■ 何度も同じことを聞かれる内容
1.
2.
3.

■ 「面倒だな」と感じる作業
1.
2.
3.

■ 人によって品質がバラつく作業
1.
2.
3.

洗い出しのコツ

  • 具体的に書く:「書類作成が大変」ではなく「月次報告書の作成に毎回3時間かかる」
  • 感情も記録:「イライラする」「気が重い」などの感情は改善のヒント
  • 頻度も記録:毎日発生するのか、月1回なのかで優先度が変わる

ステップ2:AIで解決できるか判断する

洗い出した不便のすべてがAIで解決できるわけではありません。以下の基準で判断しましょう。

AIが得意なこと・苦手なこと

AIが得意AIが苦手
文章の作成・要約・翻訳最終判断・意思決定
定型的な質問への回答高い正確性が求められる計算
情報の整理・分類物理的な作業
アイデアのブレスト社内の暗黙知・人間関係の把握
パターン認識リアルタイムの状況判断

判断フローチャート

その作業は「文章」「情報」を扱いますか?

    ├─ Yes → 定型的・繰り返しがありますか?
    │           │
    │           ├─ Yes → ★AIで効率化しやすい
    │           │
    │           └─ No → 創造性が必要ですか?
    │                     │
    │                     ├─ Yes → ★AIがアシスト可能
    │                     │
    │                     └─ No → △要検討

    └─ No → 物理的な作業ですか?

              ├─ Yes → ✕AIでは解決困難

              └─ No → △他のツールで解決可能かも

判定テンプレート

【AI適用判定シート】

課題:
現状:週に○時間かかっている

■ 判定項目(該当するものに✓)

□ 文章の作成・編集が含まれる
□ 情報の検索・整理が含まれる
□ 定型的なパターンがある
□ 毎回似たような作業をしている
□ 人によって品質がバラつく
□ 最終確認は人間ができる

✓が3つ以上 → AIで効率化できる可能性が高い
✓が1〜2つ → 部分的にAIを活用できる可能性
✓が0 → AIより他の方法を検討

ステップ3:優先順位をつける

AIで解決できそうな課題が複数見つかったら、どこから手をつけるか優先順位をつけます。

優先順位の基準

基準高優先度低優先度
頻度毎日・毎週発生月1回・年1回
時間1回あたり数時間1回あたり数分
影響範囲複数人・チーム全体特定の1人だけ
導入難易度ChatGPTですぐ試せるシステム開発が必要

ステップ4:小さく試す

優先度の高い課題が決まったら、いきなり全社展開せず小さく試すことが大切です。

試行のポイント

ポイント内容
範囲を絞るまずは1人、1チームから
期間を決める2週間など区切りを設ける
効果を測る時間の削減、品質の変化を記録
課題を記録うまくいかない点も記録

試行記録テンプレート

【AI活用試行記録】

■ 基本情報
対象業務:
試行期間:
試行者:
使用ツール:

■ Before(導入前)
作業時間:
品質:
課題:

■ After(導入後)
作業時間:
品質:
良かった点:
課題・改善点:

■ 判定
□ 継続・展開する
□ 改善して再試行
□ 中止(理由:     )

ステップ5:展開・定着させる

試行で効果が確認できたら、チーム・社内に展開します。

展開のポイント

ステップやること
1. ルール化利用ガイドライン、プロンプト集を整備
2. 教育使い方の説明会、勉強会を実施
3. サポート困ったときの相談先を明確に
4. 振り返り定期的に効果と課題を確認

実践例:よくある「不便」とAI解決策

例1:「同じ質問に何度も答えている」

現状の不便

  • 総務に「有給の申請方法は?」「経費精算のやり方は?」と毎日問い合わせ
  • 同じ説明を何度もするのが負担

AI解決策(ステップ提案)

1. まずは NotebookLM で「ルールを読み込ませる」便利さを試す

社内マニュアルや就業規則、経費精算ルールなどをNotebookLMに読み込ませ、「社内FAQボット」として試験運用する。

従業員は「有給の申請方法」「経費精算のやり方」などを自分で聞いて解決できるので、総務の「同じ質問への繰り返し回答」が大幅に減る。

ただし、NotebookLMはクラウド上のサービスなので、社内ルールやポリシーによっては、クラウドにデータを置くことがセキュリティ上の懸念になり得る点は留意しておく。

2. 本格展開を見据えて、RAG やローカルLLMの導入を検討

「もっと広い業務で使いたい」「より機密度の高い情報も扱いたい」となった段階で、以下の選択肢を検討する。

  • RAG:社内のマニュアル・FAQを検索して参照する仕組み
  • ローカルLLM:社内サーバ上で動かすLLM

これにより、「データを社内環境から出さずにAIを使う」構成が可能になり、クラウド利用に比べてセキュリティとガバナンスを強く保てる。

3. 導入コストと運用負荷を見積もる

RAGやローカルLLMの構築には、サーバー・システム設計・運用体制などの初期導入コストと継続的な運用負荷が発生する。

まずはNotebookLMで効果を実感してから、本格導入の判断をするのがおすすめ。


例2:「報告書の作成に時間がかかる」

現状の不便

  • 週報・月報の作成に毎回2時間以上
  • 何を書くか考えるのが大変

AI解決策(ステップ提案)

1. まずは ChatGPT や Claude で「下書き生成」を試す

箇条書きのメモや、その週にやったことのリストをAIに渡して、報告書形式の文章に整えてもらう。

例えばこんなプロンプト:

以下の箇条書きを、週報のフォーマットに沿って文章化してください。
・A社への提案書作成(完了)
・B社からの問い合わせ対応(継続中)
・社内勉強会の資料準備

これだけで、「何を書こう」と考える時間が大幅に減る。

2. 定型フォーマットがある場合は、テンプレート化する

毎回同じ形式で報告書を書いている場合は、「過去の報告書の例」をAIに渡して、「この形式で書いて」と指示すると、より精度の高い下書きが得られる。

3. 人間は「内容の確認と修正」に集中

AIが生成した下書きをそのまま提出するのではなく、事実確認や表現の微調整は人間が行う。「ゼロから書く」のと「修正する」のでは、負担が大きく異なる。


例3:「メールの文面を考えるのが面倒」

現状の不便

  • 顧客へのメール、特にお詫びや依頼が難しい
  • 文面を考えるだけで30分以上かかることも

AI解決策(ステップ提案)

1. 状況を伝えてメール文面を生成

ChatGPTやClaudeに状況を説明し、メールの下書きを作成してもらう。

例えばこんなプロンプト:

以下の状況で、お客様へのお詫びメールを作成してください。
丁寧だが簡潔に、今後の対応策も含めてください。

状況:
・納品が3日遅れた
・原因は社内の確認作業の遅延
・明日には届く予定

2. 複数パターンを出力して選択

「別のトーンでもう1パターン作って」と依頼すれば、フォーマルな版とカジュアルな版など、複数の選択肢を得られる。状況に応じて最適なものを選べる。

3. よく使うプロンプトを社内で共有

「お詫びメール」「日程調整」「見積もり送付」など、頻繁に使うパターンをプロンプト集として整備しておくと、チーム全体で活用できる。

注意点として、顧客情報や機密情報をそのままAIに入力しないよう、社内ルールを決めておくことが重要。

まとめ:AI活用の5ステップ

ステップやることポイント
1不便を洗い出す4つの質問で具体的に
2AI適用を判断得意・苦手を理解
3優先順位をつける効果大×簡単から
4小さく試す1人・2週間から
5展開・定着ルール化・教育

「なんとなく不便」は、改善のチャンスです。 まずは今日、上記の質問に答えて不便を書き出すところから始めてみてください。


テンプレートまとめ

この記事で紹介したテンプレートは、そのままコピーして使えます。

  • 不便の洗い出しシート
  • AI適用判定シート
  • AI活用試行記録

チームでの業務改善ミーティングなどで活用してみてください。

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